シマフクロウ100つがいに回復
1990年代には30-40つがいまで生息数が減少し、一時絶滅寸前まで追い込まれたシマフクロウですが、野外での様々な保護の取り組みの結果、2017年に72つがい、2022年に100つがい(200羽)まで生息数が回復してきています。関係者による地道な保護努力とシマフクロウの生命力が実を結んできています。
現在の「生息数」の算定は、北海道内を調査して回る研究者や調査員からの生息情報を専門家委員会で精査し、環境省が発表を行っています。一般的に生物の個体数の推定は非常に難しいのですが、シマフクロウは縄張り定着性で、つがいの絆が強いという特徴を持っています。また生息地は寿命による個体の入れ替わりを経ながら半永久的に維持されます。このような生態を持つことから、シマフクロウの公表生息数は、「生息実数であるつがい数×2」を基本とすることになりました。また、単独で長期間縄張りを維持している個体がいれば生息数に含めます。
これら以外に、その年生まれの幼鳥、親元から分散して放浪している若鳥、まだ見つかっていないつがいが一定程度生息していますが、算定が難しいため、現在は生息数には含めていません。これまでに発表されたことのある生息数のほぼすべてはこのような不明個体も含めていますので「推定生息数」となります。
※2017年の環境省発表個体数は、当時確認されていた72つがい+その年標識事業幼鳥21羽=165羽(確認実数)としました。この計算方式ですと、2022年度は100つがい+幼鳥41羽=241羽(確認実数)となります。幼鳥は死亡率が高いため、この数字はあくまでも目安です。
今後、5年ごとに生息数を発表していきます。2027年には果たしてどこまで生息数が増えているでしょうか。希望を胸に調査を続けていきます。
(解説:竹中)