環境省の報道発表で、令和5年度は49羽の幼鳥に標識されました。毎年、シマフクロウ保護事業の一環で巣立ち前後の時期の幼鳥に個体識別用の足輪を装着します。
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環境省の報道発表で、令和5年度は49羽の幼鳥に標識されました。毎年、シマフクロウ保護事業の一環で巣立ち前後の時期の幼鳥に個体識別用の足輪を装着します。
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R5年度標識調査結果
(環境省発表資料の補足説明)
環境省の報道発表にあるとおり、令和5年度は35つがい47羽の幼鳥に標識されました。標識幼鳥数は過去最高で、今年度のつがい全体での繁殖成功率は30%以上となり、平均値よりも多い結果となりました。繁殖つがい数が徐々に増加していることに加え、今春は嵐が少なく天候が安定していたことが、繁殖成功の多さに繋がったと考えられます。
シマフクロウ保護増殖事業では、1984年から、毎年巣立ち時期の幼鳥に個体識別用の固有番号のついた足輪(視認性の高いカラーリング)を装着しています。それぞれの個体が何年にどこで生まれたか記録することで、その後親元から旅立ち、無事に自らの縄張りを形成した際に、分散距離や年齢、つがい構成などが把握できることになります(鳥類は外見で個体識別を行うことが不可能です)。標識事業の際には、幼鳥が無事に生き延びて行ってくれることを、一同いつも願いながら調査に従事しています。
これまでの約40年にわたる標識事業の結果、長い個体で寿命が30年以上あることや、一度縄張りを形成すると一生守り続けること、またつがい相手を変えないこと、親元から200km以上分散する個体がいること、など様々な生態が明らかになってきています。現在野外で生きるシマフクロウの多くに標識が設置されており、野生生物の個体群全体の長期モニタリングとして、世界でも類を見ない貴重な取り組みになっています。
標識調査を行うためには生息する全つがいへの丁寧なモニタリング準備が欠かせず、研究者や保護活動メンバーは、シマフクロウへの細心の配慮を行いながら、多くをボランティア活動として調査に従事しています。
シマフクロウは繁殖成功率が北海道全体の年平均で30%と非常に低い生物の一つです。それが他種と比較して生息数の回復スピードが遅い原因となっており、一回一回の繁殖が非常に重要なものとなります。シマフクロウの繁殖に影響を与えないために、生息地への入り込みを行わないようよろしくお願いいたします。
(解説:竹中)
標識装着ヒナの様子
(環境省シマフクロウ保護増殖事業)